様々な次元のコミュケーション・保育士の加配を受けている障害児の親が11時間「標準」保育を望んだ場合

様々な次元のコミュケーション

人間は、それぞれみんな軽度の発達障害を持っていて、本来、この発達障害が「個性」と呼ばれるもので、それが「魅力」という感性につながってゆく。それは相対的なものですから、その組み合わせによってその度合いが軽度か軽軽度か、いろいろ決まってくる。その典型が男女で、この「男女」という相対的発達障害の関係が進化の源になってきた。多くの場合、幸福感とか生きがいにつながっていた。お互いに宿命的な欠陥を持っていて、完全でないから、お互いを必要とする。

いま、男女だけでなく、親子という宿命的発達障害(度)の組み合わせが、イライラの原因になっているという。人間関係が言葉や知識、損得勘定に支配され、その肌触りと大切な次元を失ってきている。

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ある日、保育園に講演に行きました。男の子が近づいてきて、「おじさん、会社行かないの?」と聞きます。

「おじさん、行かないの」と言うと、「ぼくのおとうさん、行ってるもんね〜」と自慢された。

自慢でも、こちらには、いい感じがする。駆け引きがないから。

人間は、その言葉の意味よりも、それを言った人の心持ちに反応する。その時の人間関係に反応する。幼児と過ごしていると、人間はそのことを繰り返し、繰り返し、日々実感する。

幼児との関係は「言葉」のないように思える関係から始まっている。一方的に、自分が言葉を発する関係、伝わっているかどうか確かでない関係の中で、人間は「祈り」というコミュニケーション能力をつけていく。

 

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保育士の加配を受けている障害児の親が11時間の標準保育を望んだ場合に何が起こるのか

市町村によって基準や配置、資格など異なるのですが、通常認定された障害児が3人いると、保育士(保育者)が一人「加配」になる補助が行政から園に出るようになっています。障害児3人に保育士一人というのが、そもそも無理なのですが、それでも加配がつくとつかないでは日々の保育にとっては雲泥の差です。しかし、いま、8時間保育を短時間、11時間保育を「標準」と国が定義づけた新制度のしわ寄せが、一番安定した日々を送るべき障害児の保育に、直接しわ寄せとなって出てきています。

ある園長先生から「最近は、加配対応のお子さんでも、就労の関係で、延長保育を希望される保護者がぼつぼつ出始め、延長時間帯の職員配置の問題が新たに浮かび上がってきています。」というメールをいただきました。

政府と、政府に選ばれた学者や知識人が、子ども・子育て会議で11時間保育を「標準」と定義し、女性の就労を促進しようとするのであれば、加配の保育士の延長時間帯の配置まで考えておかなければならなかったはず。

土曜保育の加配はどうなるのか、という声もあちこちで聞かれます。子ども・子育て支援新制度というずさんな施策が障害児加配の不備という点からも、現場を混乱させています。

認定は非常に難しいのですが、軽度の発達障害のある子は環境の変化により繊細で、安定した一日を送るためには特別の配慮を必要とします。愛着関係という側面からも、なるべく一人の保育士がその子の一日を見たほうがいい。もしいい加減な引き継ぎをすれば、その日の保育が台無しになってしまうことがある。そうなりやすいのが発達障害児の保育です。(人間社会に「安定」を求めるのが、発達障害児の「役割」と言ってもいい。)

単純に11時間を標準とされ、幾人かの親がそれに同調し、乳幼児から預かることで先天的な発達障害に愛着障害が重なり始めたらhttp://kazu-matsui.jp/diary2/?p=267、手が足りないどころではない、お互いに引き金を引くようなことになり、他の園児の安全さえ確保しにくくなるのはわかっていたはず。

 

一方で厚労省は、医者でさえ白黒つけることは難しい判断を、早期発見プログラムなどと言って、「専門家」を使って無責任に進めている。「発見」しなくてもいい子どもを「発見」し、現場と親の関係をぎくしゃくさせる。発見しても、対処できない。出来ていない。

障害児デイなどは、無資格でもいい、ほぼ無法地帯です。http://kazu-matsui.jp/diary2/?p=269

こうしたつけがやがてすべて学校に回されてくる。

児童虐待対応共通ダイヤルなどもそうですが、やったふりばかりで実際には対処できる仕組みを作っていない。しかもそれに加えて、再び消費税を上げないかもしれない。消費税を上げるべき、と言っているのではないのです。子ども・子育て支援新制度が消費税10%を財源にしていたのであれば、消費税を上げてから進めるべき施策だったということです。

保育園での保育の質が、児童虐待や家庭内暴力につながることだって考えられる時代になっている。

無理に無理を重ねた国の施策が、現場を疲弊させ、保育の質が「家庭内」まで影響を及ぼし始めているのです。

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加配の問題は、実は保育園の運営にとって重要で、加配の数によって園全体の保育の質が左右される時代なのです。国基準の1歳児1:6などというのは、文字通り「最低基準」で、グレーゾーンの子どもたちが増え続けているいま、多くの自治体が1:4にするために加配を組んでいる。新制度で、政府が制度を変えるなら障害児加配だけでははく、「加配」は、最も注意深く組み直さなければならなかった。それを、厚労大臣が、1:4でやっている自治体が国の最低基準1:6に戻せば、相当数の待機児童が解消できる、と指示のようなものを出した時は、現場の保育士たちは心底呆れたのです。「保育の現場をまったく知らない人間が大臣をやっている」と思ったのです。

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