保育園・幼稚園における「一日保育者体験」について

保育の質を保つために

:保育園・幼稚園における「一日保育者体験」

 

八年前、保育園の園長先生たちと「親心を育む会」という勉強会を始めました。その頃、すでに保育界は様々な問題を抱えていました。保育サービスということが言われるようになり、長時間保育が義務付けられ、保育士不足、財源不足などが加わって、いままでの保育の定義が揺らいでいました。
保育の質を保つにはどうしたらいいのか。

そこで提案 されたのが「一日保育者体験」です。年に一日、保育園の場合は八時間、親が一人ずつ、園児に囲まれ過ごす。 三つの園でやってみました。その結果は、会のメンバーを驚かせました。普段から親たちとの信頼関係が育っていたのでしょうか。親がほぼ全員参加した。そして、文句がほとんど出なかった。感想文に、判で押したように、保育園への感謝の気持ちが書かれていました。この、感謝の気持ちが保育士を育てます。そして、学校教育を支えます。
(「親心を育む会」 のホームページ http://www.ac.auone-net.jp/~oya_hug/ に感想文が千以上積み上げられています。園長先生たちが作ったマニュアルも ダウンロードできます。)


始めは、半数の親が嫌がります。会社を休んで8時間(幼稚園なら5時間)。しかも一日ひ とり、または一部屋にひとり、結構大変そうに思えます。でも、半数の親たちが、何月何日私が来ます、とスケジュール表に書き込んでくれました。つられて残りの3割が書き込みます。最後の2割は、もう他の親たちの保育者体験が始まっていますから、子どもたちが「お母さんは、いつ来るの、お父さん、来るの?」と聞いてくれます。


保育者は、「子どもたちが喜びますよ」「子どもたちが喜びますよ」と、繰り返し薦めます。信念を持って説得すればいいのです。園は親子の幸せを願って取り組んでいるのです。園に対する信頼があれば、一年かければほぼ全員参加します。説得できないなら、まだ信頼関係がないのだ、と思い、親たちと心を一つにする努力する。その努力が保育者の姿だと保育者自身 が思い出すかもしれません。そして、子どもたちを可愛がり、「子どもが喜びますよ」を、心を込めて言い続ける。それでも駄目なら仕方ない。そういう親はたぶん室町時代にもいたでし ょう。気にすることはありません。人類の進化には、そんな人ももちろん必要です。


一日保育者体験は、父親母親ほぼ全員が参加した時、園と親たちの信頼関係ができた、ということなのですが、一組でも参加し、その一家の人生が変わるなら、それだけでも実は素晴らしいこと。全員は無理でも、全員を目指す。その決意に意味があるのです。
お母さんがやったら、お父さんも、お父さんがやったら、お母さんも。夫婦が、別々の日に、卒園までに3回か4回、これで一家の人生がそうとう変わります。参加した親の感想文を園だよりに載せたり、玄関のところに写真を張り出したり、参加人数が少なかったら、参加した人、やって良かったと思った親に、祖父母もいかがですか、もう一度どうですか、と薦めます。幼児と居て楽しそうな人を一人ずつ増やしていけば良いのです。(特に父親。男性は大人になっても結構子どもなので、素直になると幼児と波長が合います。)


埼玉県では、三年以内にすべての幼稚園保育園で、を目指すことになりました。当時の厚生労働副大臣に頼んで、新しい保育指針の解説DVDに、保育参加の例として「保育士体験」を入れてもらいました。保育参観ではなく、参加を、これは、保育所保育指針に書かれ、法律として決ま った保育園の役割です。そのことは、堂々と親に言っていいのです。法的裏付けもあるので す。
でも、やはり親を説得する言葉は、「子どもがよろこびますよ」が良いのです。

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保育は就労支援なのか、子育て支援なのか。一日保育士体験は保育園はただ預かる所ではなく、保育士と親が一緒に子育てする所ですという宣言です。しかも、いつでも親に見せられる保育をしている、という宣言でもあるのです。保育界が混沌としてきた今、ここが、これから分岐点になってきます。
幸い広がっています。砂場で遊ぶ幼児を眺めて、人間は自分はいつでも自分次第で、砂でさえ幸せになれることを思い出します。

(保育者体験の勧め、など、講演依頼、お問い合わせはchokoko@aol.com 松居までどうぞ。市長さんが聴いてくれると、保育に関する市の姿勢がずいぶん変わったりします。)

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親全員が参加する保育園のページです。http://www.hanazono-fukushikai.com 特に父親の保育参加に力を入れています。

茅野市の一日保育士体験:http://www.city.chino.lg.jp/…/cont…/1360914331329/index.html

板橋区の一日保育士体験:http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_cate…/index04004012.html

福井県の一日保育士体験:http://www.pref.fukui.jp/…/…/youjikyouikukatei_d/fil/023.pdf

高知県の一日保育士体験:http://www.pref.kochi.lg.jp/…/2014033100475_www_pref_kochi_…

その他、各地で始まっています。「一日保育士体験」で検索するとたくさん出てきます。

 

幼児たちが私たちを育て、支える一番確かな存在です。彼らの役割を果たさせてあげれば、必ず社会に自然治癒力と浄化作用が働きます。
どうぞよろしくお願いします。

 

 

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