看護師6人一斉辞職 鳥取の養護学校、生徒10人通学できず/子育てや介護が単純に労働や仕事の領域になってしまったら、必ずこういう状況が起ってくる

看護師6人一斉辞職 鳥取の養護学校、生徒10人通学できず

http://www.sankei.com/west/news/150608/wst1506080071-n1.html

 鳥取県立鳥取養護学校(鳥取市)の看護師6人全員が、校内で行う医学的ケアに対し保護者から批判を受けたことを理由に5月末に一斉辞職し、一部児童・生徒が通学できなくなっていることが8日、県への取材で分かった。

 県によると、6人はいずれも非常勤。10人程度の子供が通学できておらず、県は近隣の病院に看護師派遣を依頼し、今週中にケアを再開する予定だ。8人程度が必要だとして確保を進める。同校では、全児童・生徒約70人のうち約30人に、たんの吸引や経管栄養法などのケアが必要。保護者からは、吸引時間の遅れや点滴の位置などに関し批判の声が寄せられていたという。

 通学できない子供には在宅学習や、福祉施設に預かってもらい対応。求めがあれば、教員を自宅に派遣している。

ーーーーーーーーーーーー(ここから私見です)ーーーーーーーーーーーー

 子育てや介護が単純に労働や仕事の領域になってしまったら、必ずこういう状況が起ってくるのです。そこで、人間たちは、子育てや介護が、本来、人間の心をひとつにすることが第一の目標だったことを思い出すのだと思います。

 私は、この国が、欧米のように、それを思い出した時に手遅れになっていないことを願うのです。仕組みが人間性で賄われていた領域に入り込み、それが一度崩れ始めると修復のしようがない。ギリシャの財政問題も典型ですが、そんな状況が様々な次元で世界中で起っている。

 未婚の母から生まれる確率が三割を越え、子育ての社会化が権利のように定着すると、もう戻れない。利権を手放したくない、という思いが、政治家の「落選したくない」という思いと重なる。そうして、福祉における人材と財源はアッという間に枯渇する。

 人間の作った仕組みには、遺伝子の仕組み(人間性)の代わりはできない。

 欧米のようにならないためには、「家族」という損得とは離れた「情」の関係が必要になってくる。「家族」は人間性のビオトープだった。日本にはまだその土壌があるのです。再生出来るチャンスがあるのです。

 人間の遺伝子に組込まれている「仕組み」が人間社会の原点に存在していなければ、経済という闘いの場で勝ったとしても、それで幸せになることさえおぼつかなくなる。

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 「家族」「家庭」は人間の幼児期という、絶対的弱者の立場を誰もが体験し、いずれ再び老いてその立場に還ってゆくことを日常生活の中で確認する場でなければ意味がない。だから人間の幼児期だけでも、なるべく一家で見守り、自分の良い人間性を体験して欲しい。


 この国を、後戻り出来ない状況に、福祉政策が追い込んでいる。雇用労働施策が人間性を忘れた自転車操業になってきている。それが、看護士が一斉に辞めてゆくような、子どもにとって理不尽な状況を生む。


 子育てや介護の仕組みは既に多くの人に必要で、弱者のために、人間性の肩代わりをしている。だからこそ、その限界を早く理解し、なるべくみんなでもう一度幼児を眺め、幼児との関わりを増やし、人間性や、弱者の役割りを「嬉しく」憶い出す作業を積み重ねてゆくしか無いのだと思う。多くの人々が、自分の人間性を嬉しく体験する機会を意識的に作る。人間性を取り戻す作業を「幼児という、一番幸せそうな人たちを眺めることによって」地道に進めることでしか、こういう問題は解決しない。

 どういう理由で看護士六人が一斉に辞めたのか、よほど耐えられない状況があって、それを周りが支えきれなかったのであれば、問題は深刻です。もっと気軽に、こういう仕事を放棄したのであれば問題はさらに根が深く、深刻です。

 いずれにしても、話合いで解決することではすでにない。仕組み全体に矛盾や葛藤が溜まり過ぎている。

 最近、誘いあって辞めてゆく保育者が増えているのです。


保育士さんに講演をしたあと感想文にこんな文章がありました。



「11時間保育についても再度考えていく必要があるのではないかと思っています。本来の子育て支援とはかけ離れている気がしてなりません。長時間保育も昨年度より、1.6倍も増えています。土曜日・休日保育も増えるばかりです。寂しい思いをしている子ども達が増えています。とても不安です」

 現場のこういう思いを、政府や行政が蔑ろにしているから、いい保育士さんが辞めてゆく。11時間保育を「標準」と名付けた新制度は「児童は、できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有する。」という「子どもの権利条約」にさえ違反している。保育士会は、国連に提訴したほうがいい。国際条約は国内法に優先して遵守されるべきルールですから。

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保育風景から、1対6には無理があります



 信頼できる、とてもいい保育園での風景です。保育士一人で6人の幼児。その中に、活発で手のかかる可愛い子が1人いました。そして、大人しくて手のかからない子も1人。

 保育士にとって手のかからない「いい子」が、ずっと一緒にいてもらいたい人を一日中探していました。眠たい時に一緒に眠ってくれる人を探していました。その子に集中し、心を合わせて見ていれば、それはすぐにわかります。でも、地球上で、誰もそれを知らないで、時間が過ぎていくのです。その子は、6人を見ている保育士には、つい見過ごしてしまう「いい子」なのです。「いい子」の願いをかなえてあげる積み重ねが、将来どれほどこの国に貢献するのか、そんなことを想像しました。

 「いい子」の静かな願いがかなわない毎日が、いい保育園の一室で一年間続く、と思うと、保育という仕組みの限界をひしひしと感じました。


園長先生からのメール

 梅雨の晴れ間の日差しがまばゆく、今日は子ども達が久しぶりのプール遊びに歓声を上げて楽しんでいます。松居先生、お変わりございませんか?

 うれしいニュースが2つあります。

 まず一つ 先日、保護者の一日保育者体験のマニュアルを検索した後、高知県の教育委員会に連絡をさせてもらい、いろいろお伺いできました。もしかしたら見学をさせて頂く事になるかもしれません。

 もう一つはS保育園でも一日保育者体験を実施しようと考えているのですが、いきなりは難しいので、まず参観日をクラス単位で行い、朝、9時半から保育に参加してもらい、給食を一緒に食べ、お昼寝をさせてもらってから、別のお部屋で子ども達が寝ている間にクラス懇談会後、フリートークで保護者同士で話してもらい3時におやつを食べて降園。という日程で参観日を行いました。スタートは1歳児クラスからでしたが、参加率は100%で感想の中に「長い時間なのでどうかなと思っていましたが、あっという間に時間がたちました。」「楽しかったです。」「日頃の保育園での様子が見えてよかった。」「午後の時間に保護者の方と仲良くなれました。」とありました。来年度の一日保育者体験に一歩近づけたようで嬉しくなりメールしました。

 梅雨明けにはもうしばらくかかりそうですが、夏風邪等お召しになりませんようご自愛ください。

                             S保育園、H・T 

 

嬉しいニュースをありがとうございます。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

私も、講演をしながら、考えています。

また、お会い出来る日を楽しみにしています。

 



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