小野省子さんの詩『愛し続けていること』

『愛し続けていること』 詩/小野省子

いつかあなたも
母親にいえないことを
考えたり、したりするでしょう

その時は思い出してください
あなたの母親も
子供にはいえないことを
ずいぶんしました

作ったばかりの離乳食をひっくり返されて
何も分からないあなたの細い腕を
思わず叩いたこともありました
あなたは驚いた目で私を見つめ
小さな手を不安そうにもぞもぞさせていました

夜中、泣き止まないあなたを
布団の上にほったらかして
ため息をつきながらながめていたこともありました
あなたは温もりを求め
いつまでも涙を流していました

わたしは母親として
自分を恥ずかしいと思いました
だけど苦しみにつぶされることはなかった
それは小さなあなたが
私を愛し続けてくれたからです

だからもしいつか 
あなたが母親にいえないことを
考えたり、したりして
つらい思いをすることがあったら
思い出してください

あなたに愛され続けて救われた私が
いつまでもあなたを
愛し続けていることを

http://www.h4.dion.ne.jp/~shoko_o/newpage8.htm (省子さんのホームページ)

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 出会うことの不思議は、人それぞれが自立出来ないといことを証明しているようです。去年、私の講演を聴いた一人の母親が、手紙と詩を送ってくれました。

 「話が進むに従って、私の中で不思議に思っていた問題が少しずつ解かれていきました」と書いてありました。

 自分が子育てをしながら書いた詩の解説に、私の講演がなったのです。私は、最近講演でこの方の書いた詩を一つ朗読します。短い詩が、私の2時間の講演の全てを説明してくれる。詩という芸術の素晴らしさを実感します。余韻、余白、で表現する、これは、言葉の喋れない0才児が私たちから「人間性」を引き出そうとする人間の進化の仕組みに似ています。感性の世界で全体的につながることを要求する。詩人の感性は、子どもの感性とよく響きあう。この余韻、余白から生まれる時空を超えた感性の絆が、人間社会には大切なのだと思います。人が育てあうことの背景には「信頼」が存在する。信頼を確認するために人は永遠に育てあう。
 人間が育てあい、支えあう行為が、人間対システムになってはいけないと思います。人間対自然であればいいけれど、システムは人間の思考から出来上がっていることが多いので、偏りが出て来てしまう。社会全体で子育て、と政治家は言うけれど、それでは、社会から本来の人間性が失われてしまう。システムが人間を支配するようになってしまう。

 幼児は信頼することで私たちに人間であることの幸せを教え、ときどき許し、絆を育てる。それが初めにある。それが社会。そして私たちは、詩人がそう言うように、幼児によって「救われる」。そうやって人間性は潰されずに回り続けてきた。絶対的弱者が運動の始まりに存在して、動機、意思を生み出す。
 講演でこの詩を声に出して朗読すると、時々、最後のところで泣きそうになってしまいます。

(小野さんの子育て詩集「おかあさんどこ」がhttp://kazumatsui.com/genkou.htmlからダウンロードできます。)

小野省子さんの詩『愛し続けていること』」への1件のフィードバック

  1. 羽生市 いずみ保育園の増田です。11月5日(土)の講習会は、楽しみにしております。近況ですが、就学支援委員会なるものに参加させていただいておりますが、支援ではなく判別的観点の強い!会議です。子育て支援課・関口君と共に現在、教育委員会」と戦闘中です。
     どんな子供でも、ランドセルを背負って市内小学校に入学することが、親の夢なんだ!と思っています。今の羽生市は、未熟な先生が、自分の力不足を棚に上げ、ADHDとかアスペルガ―等々勝手な判断をしていることが許せません。
     保幼小の真の連携を模索したいと思ってます。
    うまく表現できませいんが・・乱文で失礼します。

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