「生命の暗号」

筑波大名誉教授の分子生物学者、村上和雄氏が亡くなりました。

著書の「生命の暗号」という本に、遺伝子がたくさんオンになるほど良い研究が出来る、感性が磨かれる、と書いてあります。そして、遺伝子をなるべくオンにするには、感謝すること、Give&Giveの気持ちで生きること、その典型が乳児を育てる母親、と書いてあるのを読んで感動したことがあります。

わかりやすい、真実は、とってもわかりやすい。

ここまで歩んできた人類の道筋が見えてくるようです。直感は度々宗教っぽく聞こえることがありますが、それを真実と見抜く力が遺伝子に存在する。その源に、次の世代を優先することがあって、それはつまりGive&Give、利他の心。そのあたりの遺伝子がオンになってくると、人類は、より一層調和するということですね。

村上先生の本を読んでいると、0、1、2歳という特殊な人たちと過ごすこと、環境、景色としての幼児たちの存在、子育てという体験が「人間性」という、『遺伝子が充分にオンになった状態』と密接に関係しているのがわかります。笑う、という行為が遺伝子をオンにするという主張も、とてもわかりやすい。遺伝子は「心」とオン、オフという関係で常に交流している。「想い」によって遺伝子がオンになる。

その「想い」のスイッチになっているのが、0、1、2歳との交流、可愛がる、をベースにしたプロセスなのでしょう。

 

生命の暗号 

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笑わない一歳児。園長が母親と面接するが母親も笑わない。父親を呼び出すと不機嫌。祖父母を呼び出した時点で誰もこの小さな命に感謝していないのでは、と気づく。保育士に号令「くすぐってもいいからこの子を笑わせろ!一日中!」。子どもが笑う。母親が少し笑う。やがて一家が命のまわりで笑い出す。

「あの子ですよ」と園長先生が指差す先で、元気な三歳児が遊んでいる。これが保育。保育とは、人間の遺伝子がオンになるプロセスを助けること。