不思議な次元を知ること

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以前書いた『萩生田氏「赤ちゃんはママがいいに決まっている」』http://kazu-matsui.jp/diary2/?p=2541 に対してこんなメールが来ました。
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「長らくのご無沙汰をお許し下さい。その節は色々お世話になりましてありがとうございました。今回の記事を拝読し是非お耳に入れたい体験を思い出しメールさせて頂きます

 20数年前の新聞記事に『母のない子に母の日つらい』というのがありました。我園でもその頃当たり前に母の日、父の日にカードを作っていましたが、どうしようかと話し合った結果、子供達に脈の取り方を教えました。そして、今たとえお父さんお母さんと一緒に暮らせていなくてもあなたの生命の誕生の時にはお父さんお母さんがいて下さったのだからそのお父さんお母さんにプレゼントする為にカードを作ろうと職員で話しあいカード作りは続けることにしました。お父さんお母さんはいつもあなたと一緒なのだから。
去年のお泊り会の時のことです。
乳児組でのクラス毎の入浴、園舎屋上でのカルピスガーデン、園庭での夕食、花火大会、スイカ割り等々一通りの活動を終え、歯みがきをしていよいよ寝むためにホールへ集まってきた時のことです。
一人の女児がホールの入り口で、左手の手首の脈を一生懸命さがしているのです『どうしたの』と聞くと「寝る時ママがいなくて寂しいから、ママのとっくんとっくんを聴いているの 」と言うのです。思わず涙が出てきました。もうこの子は何があっても大丈夫。いつもお父さんお母さんと一緒なのだから。
複雑な世の中になればなるほど、子供達は、いつも、命の原点を教えてくれる存在です。
勝手な時の勝手なメールで申し訳ございません。いつも思うことですが、年寄りには一票があるのに、乳幼児には全くそれが与えられていない事、歯軋りする思いです。
これからもずっとご活躍を願っております。」

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(ここから私です。)
自分の手首の脈の中に母を探し、母を感じる。現実を超えている現実を知る。こうした不思議な次元を知ることが生きる力なのでしょう。幼児を育てる現場で、こういう人間の本来の姿、伝承の中に社会が生まれる瞬間が現れる。これが保育だと思いました。