新しい経済政策パッケージ」と「高等教育」について。#1

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この国の「新しい経済政策パッケージ」と「高等教育」について。

政府が閣議決定した、

「新しい経済政策パッケージ:第2章 人づくり革命」1.幼児教育の無償化 2.待機児童の解消 3.高等教育の無償化 4.私立高等学校の授業料の実質無償化 。・・・。

をある園長先生に指摘され、読みました。

園長先生は電話の向こうで、「政府は、いつになっても幼児たちのことを考えない。保育界がこれほど混乱し、保育士がいなくてベテランの園長さえ右往左往しているのに、こんな馬鹿げた、保育に直接的に関わる施策がいまだに発表される。何がパッケージでしょうか。パッケージで子育てはできませんよね。いい加減にしてほしいし、保育団体の反応も甘過ぎです。現状をしっかり訴えなければいけない時に、いまだに利権獲得、利権誘導みたいなものが下心にあるから、厚労省の天下りに振り回されて、もう無理とわかっていながら気持ちが定まらない。マスコミも含め、誰も現場の保育士と、子どもたちの気持ちを誰も考えていない」と憤るのです。

経済政策パッケージが示す、「人づくり革命」は、経済競争に参加する「人づくり」を政府の都合で進めること。それによって社会の「絆」、その土台となる「家族の絆」「親子の育ちあい」を希薄にしてゆく、この国の将来の「あり方」に影響する施策です。民主党政権が「子ども・子育て新システム」を提案したあたりから、それがはっきりと見え、その片棒を担ぐのが結局自分たち保育者になるから、園長先生は「いい加減にしてほしい、なぜ、わからないのか」と言うのです。

幼児期の子育てに関わる国の施策は、仕組みがある程度確立している学校教育と違い、壊れやすかった保育の現場に直接的に影響を及ぼす。それが身に染みるだけに、園長先生の語気が強くなる。

ここ数年「子ども・子育て支援新制度」で保育界が窮地に追い込まれ、親たちの子育てに対する意識を根本から変えようとしている経済政策の大元に、もう40万人乳幼児を保育園で預かれば「女性が輝く」、という首相の国会演説がある。本当に「輝く」と信じているのか、「経済」を良くするための方便なのかはわからない。

しかし、11時間保育を「標準」と名付け、乳幼児期の子育てを家庭からより長時間奪い、安易に、仕組み(保育)で肩代わりしようとしたら、結果的に取り返しのつかない「保育崩壊」を招くことになる。全体としては、すでに仕組みが成り立っていない。保育士が満足に見つからない。全ての保育所に立入検査をしたら3割近くに違反が出ることを以前から知っているから、それをしない。(http://www.luci.jp/diary2/?p=1635)

園長は続けます。「最後に名前の出ている、これを決めた学者たちや政治家たちは一体何を考えているのでしょうか。幼児教育の無償化、待機児童の解消などで本当にこの国の経済が良くなるのでしょうか。無責任な親が増えるばかりじゃないでしょうか。親に助言をするのが本当に難しくなった。「家庭」が自転車操業を始めている感じです。経済が良くなっても格差社会が進むだけ。子どもたちが幸せでなければ意味がない」。

国としての「経済」が良くなっても、家族・家庭という形が徐々に崩れ、個々の人生を今以上に孤立化させ、生きる意欲、動機を、この先社会に保てるのだろうか。こんなことをして、人々が愛せる「国」になってゆくと本気で思っているのだろうか。

保育崩壊は家庭崩壊に似ています。保育園は幼稚園よりはるかに「家庭」という形に近いものでした。親より長い時間子どもたちと関わる仕組みは、そうでなければいけなかった。毎年涙で卒園児を送り出すことで、その形はそういう方向に自然に出来上がっていった。

私立保育園では、たとえ先代園長・理事長、二代目園長、主任、の意見や考え方がバラバラでも、一時食い違っても、「家庭」がそうであるように、「園児たちのために」という共通した意識で葛藤や困難を乗り越えることができた。人類の存続に関わる「優先順位」が、仕組みにおける人間関係をまとめてきたのです。その微妙な安定感・連帯感が政府の「子どもの気持ちが視野に入っていない保育政策」でまとまらなくなってきて、主任が辞めたり、保育理念でもめたりして、二代目三代目がビジネスに走って、初代の気持ちや「智」が役立たなくなったり、そこで働く保育士たちが納得しなくなるケースが全国で起こっています。こんなに簡単に崩れるものだったのか、と驚くような窮状が、まさかあの園で、と思うような保育園で起こっている。その崩れ方が「家庭崩壊」と重なって見えるのです。

「新しい経済政策パッケージ」http://www5.cao.go.jp/keizai1/package/20171208_package.pdf

ーーーーーーーーー(続く)ーーーーーーーーー